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「東工大の研究者展」開催報告

「東工大の研究者展」を開催

2023年10月29日(日)午後1時~4時、東京工業大学蔵前会館くらまえホールにおいて、工大祭2023およびTokyo Tech Research Festival 2023の一環として「東工大の研究者展」を開催しました。
この展覧会は東京工業大学 研究・産学連携本部が主催し、純粋に知的好奇心に基づいた研究を続けている愛すべき知の探究者達が研究室を飛び出て、自らの研究の「おもしろさ」を直接お伝えすることをコンセプトにしたものです。

Curiosity Driven Researchers

明け方の雨が上がり、さわやかな秋晴れのもと、5年ぶりの通常開催となった工大祭。大岡山キャンパスは大勢の来場者でごったがえしました。正門付近に設置された看板が、ひときわ目を引きます。

「僕、分かるかな?ちょっと難しそうだな?」(最初の来場者)

――そんな囁きと共に、13時の開場に合わせておそるおそると入ってくるお客様を、本展覧会の発案者である渡辺理事・副学長(研究担当)が先頭に立ってお迎えしました。実は渡辺理事は、幕が上がるまで集客を心配していたそうですが、結果的には400名以上の方が来場され、大盛況となりました。

「研究者が、純粋な知的好奇心“Curiosity”に触発されて進めている研究、そのワクワクするような魅力を伝えたいと思って企画しました。こんなに大勢来てくれて本当に嬉しいです。どうか楽しんで行ってください。」(渡辺理事)

展示内容

  1. タイヒミュラー空間と3次元多様体の関係 ~ 3=2+1って奥深い(正井秀俊/理学院 数学系)
  2. 原子核を通してみる物理学のおもしろさ(関澤一之/理学院 物理学系)
  3. 多中性子核の探索(藤岡宏之/理学院 物理学系)
  4. 分子パズルの匠 ~ 有機合成が拓く世界(大森建/理学院 化学系)
  5. 宇宙史を通じた星・惑星形成(田中圭/理学院 地球惑星科学系)
  6. 「別次元」から金属結晶を探索する(永島涼太/物質理工学院 材料系)
  7. 数学の不思議さ・おもしろさ(土岡俊介/情報理工学院 数理・計算科学系)
  8. 計算の不思議さ・おもしろさ(七島幹人/情報理工学院 数理・計算科学系)
  9. クラゲも寝るか?(立花和則/生命理工学院)
  10. 『マクベス』映画化の最前線 ~ コーエン監督版(2021)の映像表現(小泉勇人/リベラルアーツ研究教育院)
  11. シン・ゴジラの放射線生物学(松本義久/科学技術創成研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所)
  12. ELSI Science-Art Project - Driven By Collaboration And Co-Creation (Thilina Heenatigala/Earth-Life Science Institute)

会場には11の展示ブースと映像作品2点が設置され、来場者は自由にブースを回り研究者に話を聞いて回ります。研究の魅力を熱くプレゼンテーションする姿に、来場者は興味津々の様子でした。

「はい!星雲!」(小学生)

200名ほどの来場者が集まり会場が温まってきたところで、ステージでは天文学者 理学院田中圭先生によるミニトークが開始されました。軽快にステージ上から投げかけられる質問に、さっと手を挙げて回答したのは小学生の男の子。会場は暖かい拍手に包まれました。

その後、会場の隅でじっと模型を見つめる小学生の女の子や、次々と研究者に質問を投げかける高校生男子3人組、熱い視線を送る受験生の保護者の方など、会場には笑顔が溢れました。

「分かろう と考えている時間が、多分、一番いいものだと思う」(正井)

「発見ていうのは、ものすごく楽しいんですよ」(立花)

また、このイベントでは新しい取り組みとして、数学と物理学に関するグラフィックレコーディング作品や、現代美術家による映像作品も展示されました。イベント後半では、映像を制作した志村氏とサイエンティスト二人とのトークショーが行われ、10分間の美しい映像が大画面に映し出されると場内は静寂に包まれました。

Living as a scholar: Hidetoshi Masai(pilot ver.)
2023年、志村信裕(コーディネート:E&K Associates)
Living as a scholar: Kazunori Tachibana(pilot ver.)
2023年、志村信裕(コーディネート:E&K Associates)

(*志村氏の映像作品は、別の機会に完全版を期間限定公開予定です。)

参加者の声

- 「めちゃくちゃ面白かった!来てよかったです」(高校生)

- 「子どもが実験好きで、連れて来ました。本人が楽しそうにしていて嬉しいです」(保護者)

- 「研究者自身が魅力的だと思いました」(社会人)

- 「自分の研究を伝える手法として、先生方の展示が参考になりました」(大学生)

半年にわたる展覧会の準備には現役東工大生も多く参加し、研究の見せ方について経験値を積みました。

おまけ 東工大として最後の学園祭、後夜祭も盛り上がりました!

今後も研究・産学連携本部では東工大の研究者や研究の魅力を広く発信していきます。
(展覧会開催に当たりご協力いただいた多くの関係者に感謝申し上げます。)